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研究内容

静電力によるルナダスト除去機構 -Lunar dust cleaner-

月面探査活動において微小な月土壌粒子であるルナダストが,探査機のソーラパネルや観測用レンズに堆積し,月面探査活動に障害を与える問題があります.そこで本研究では,進行波電界と呼ばれる静電力を利用したルナダスト除去機構を開発しました.この機構は,駆動部が無く整備不要,制御が容易,低消費電力,透明で観測の妨げにならないなど,月面活動に適しています.

■ 実験

下図にクリーニング機構の構造を示します。搬送基板はITO (Indium Tin Oxide・酸化インジウム錫) による透明導電膜で作成しました。各電極には図の通り、4相の交流信号(電圧800 V、周波数1 Hz~100 Hz)を印加して、基板表面に不平等電界が発生させます.これより粒子は主な外力として,クーロン力と分極力により搬送されます。
実際に粒子を除去する様子をご覧下さい.月面環境を模擬した真空実験では、堆積した粒子の重量割合95%以上を除去し,粒子設置前と比べると光透過率が4%減少までに抑えることができました.

<br />再生するにはプラグインが必要です。
図1  静電コンベアと供給電圧波形の概略図 粒子搬送動画(wmv形式 1.11 MB)

■ 計算

進行波電界中における月模擬砂の搬送形態と数値計算によりモデル化した搬送形態の比較・検討を行い,搬送メカニズムの解明を行っています.
高速度カメラによって撮影した実際の搬送の様子と数値計算の結果を比較したものを以下に示します.実際の搬送と比較すると,粒子が基板表面に発生した電界に沿って搬送される様子 が再現できていることが確認できます.

<br />再生するにはプラグインが必要です。
高速度カメラ撮影(wmv形式 2.79 MB) 数値計算(wmv形式 2.93 MB)

Keyword: Lunar exploration, Lunar Dust Removal, Electrostatic Force, Particle, FJS-1, JSC-1A,
月面探査, ルナダスト, 月面ダスト, 静電力, 進行波電界

更新日: 2012/05/14 15:18:00