研究内容
DEVELOP - dual-component development班
我々の班では,レーザプリンタや複写機などに採用されている磁性二成分現像方式を研究しており,画像品質の向上を目指しています.この現像システムでは,キャリアと呼ばれる直径50 um 程の粒子群が現像器上で磁気ブラシを形成し,画像の素となるトナー粒子を感光体上に搬送します.そのため,磁気ブラシの諸特性が画像品質に大きな影響を及ぼします.そこで我々は,磁気ブラシの特性を実験・計算の両面から調査しています.
■ 現像場の可視化(高速度カメラ撮影と数値計算によるシミュレーション)
高速度カメラを用いて実際の現像の様子を撮影しました(動画1).また数値計算によって現像の様子を再現したものが(動画2)です.動画から,磁気ブラシが磁束密度の方向に傾斜しながら感光体に接触している様子がわかります.
動画1(wmv形式 9.38 MB)
動画2(wmv形式 2.50 MB)
■ キャリア現像
磁性二成分現像プロセスにおいて発生する代表的な障害の一つに,キャリア現像があります.これはキャリア粒子が感光体上に残存してしまう現象で,キャリア粒子がトナー粒子にくらべて粒子径が非常に大きいことから,紙面への正常な画像転写を妨げる原因となります.そこで本研究では,現像剤のトナー混合率,磁性二成分模擬装置への印加電圧をパラメータに,感光体上に残存しているキャリア粒子量の測定実験を行っています.図4は,キャリアに対するトナー混合率が0 % (a)と,9 % (b)の現像剤を用いた現像の様子です.実際の動画はそれぞれ(動画3),(動画4)です.トナー混合率を増やすことでキャリア現像が抑制されたことが見てとれます.
キャリアは導電性であり,現像器に電圧を印加した際に電子が磁気ブラシ先端へ移動します.すると対向電極方向に静電気力を受けるためキャリア粒子が感光体上に残存すると考えられます.一方,絶縁性のトナーを混合することによって導電性のキャリアチェーンが絶縁されるため,感光体上に残存するキャリア粒子が減少すると考えられます.今後は数値計算によりキャリア現像を再現し,トナー混合率の違いによる差異を調べます.また実験では,キャリア現像が発生し始める限界電圧を測定していきます.
動画3(wmv形式 989 KB) 動画4(wmv形式 1.08 MB)
更新日: 2012/05/14 15:18:00