紙送り機構,紙搬送機構
 従来の複写機やプリンタなどのOA機器の紙送りは,摩擦ローラを使用して摩擦力によって紙束から紙を一枚だけ分離する機構が主流である.しかし,紙の性質や環境条件によって摩擦力が異なることやローラが劣化することによる,用紙の重送や破損が問題とされている.そこで本研究では摩擦力によらない,図1に示すような静電力によって紙束から紙一枚だけを分離する機構を提案する.
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図1 静電分離機構
 図2は図1に示した実験装置の右側から紙束右端の挙動をビデオカメラで撮影したもので紙一枚の分離する様子が確認できる.この領域における算出した等電位線の時間変化を図3に示す.分離電極に電圧を印加して1.0 s後には,紙内部に電位差が生じていないということがわかった.つまり,紙内部に静電力は作用せず,最上部の紙一枚だけの分離が計算によって示された.図2は図1に示した実験装置の右側から紙束右端の挙動をビデオカメラで撮影したもので紙一枚の分離する様子が確認できる.この領域における算出した等電位線の時間変化を図3に示す.分離電極に電圧を印加して1.0 s後には,紙内部に電位差が生じていないということがわかった.つまり,紙内部に静電力は作用せず,最上部の紙一枚だけの分離が計算によって示された.

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図2 紙の分離の様子

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図3 等電位線

 実際のプリンタでは,用紙束から1枚だけ分離した後,搬送する機構が必要である.このため図4に示すように,前述の分離機構において分離電極を円柱形にし,モータによって回転することによって,用紙束から分離した用紙を搬送することを試みた.電荷供給ローラにはプリンタ等で広く利用されている帯電ローラを用い,微小放電を利用して分離ローラ表面に電荷を供給する機構とした.
この機構を用いてA4サイズの紙搬送をおこなった結果を図5に示す.これより,帯電ローラへの印加電圧が高いほど紙の搬送速度が速くなることがわかった.また,印加電圧には紙の搬送を開始するしきい電圧が存在し,本実験条件の場合,約820 Vであった.本実験装置においては印加電圧が1.0 kV程度の時,最高で約65.0 cm/s (A4長手方向で約120 ppm) での搬送が可能であることを確認できた.
なお、本研究の成果は特許出願されている。

図4 静電分離搬送機構 Movie(1.59MB)


図5 印加電圧と搬送速度

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