TRAVEL

 Travel班では進行波電界を用いた電界コンベアに関する研究を行っています.従来のベルトコンベヤ等では,搬送時に振動が発生したり,可動部にともなう粉塵が発生するといった問題があります.このシステムを用いれば,振動が敬遠される現場や,クリーンルームなどにおいて,粉体(または,それに準ずる微小部品)を搬送することが可能となります.しかし,この粉体搬送システムは,基本的な動作原理がいまだ完全には解明されておりません.そこで私達は,このシステムを用いた実験と,数値シミュレーションを用いて,この動作原理の解明を目的に研究を行っております.具体的に数値シミュレーションでは,私達が把握(想定)している外力を粉体に与え, 多種多様な搬送挙動をシミュレートすることによって,目的へのアプローチとしています.

 下図に粒子搬送機構の構造を示します.電極は長手方向に縞状に並べた構造で,搬送する粒子と電極との絶縁と電極間の放電防止のために,電極上を絶縁フィルムで被覆しています.各電極には図1の通り,4相方形波(800V 10-1000Hz)を印加しています.


図1 実験装置図
 レーザプリンタの2成分磁気現像系に使用されているキャリア粒子を搬送している様子をご覧ください(図2).


図2 20Hz,w/p = 1.0/2.0mm Movie(1.88MB)
 数値シミュレーションでは,粒子の挙動追跡にはルンゲクッタ法を,電界解析には有限要素法を,粒子間衝突にはHSモデルを用いています.この数値シミュレーションの様子をご覧ください(図3).この数値計算に関しては,様々な付着力等の影響を考慮し,現在更なる精度向上を目指しています.


図3 20Hz Movie(1.2MB)
 搬送の汎用性を考え,様々な粒子について搬送を行っています.剛体粒子については,絶縁粒子や導体粒子などにおいても搬送可能であることを確認しました.さらに搬送対象を液滴や軟体に拡げることにより,医学や生物学,化学の分野に化学反応装置やマイクロカプセル搬送装置などへの応用も可能となります.図5に食用油中でイオン交換水を搬送したときの様子を示します.搬送原理の解明を目的とした液滴挙動観察のために,電極にかかる電圧の正負を判別するためにチップダイオードを用いて印加電圧を可視化しました.点灯しているダイオードの真下の電極は正の電圧がかかり,反対に消灯しているダイオードの真下にある電極は負の電圧がかかっていることを示しています.図7に渦状の電極を用いて2液混合実験を行った結果を示します.


図6 200mHz,w/p = 1.0/2.0mm Movie 4.97MB



図7 2液混合実験 Movie 2.6MB
 

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