DEA - Dielectric Elastomer Actuator -
研究背景
 有人宇宙探査の際,月を拠点とする案がありますが,人間の活動に必要な物資を全て地上から運搬するのは膨大なコストがかかるため現実的ではありません.そこで月面上の資源を有効活用するISRU (In-Situ-Resource-Utilization) を行うことが必要になります.特に月面上に多量に存在する月レゴリスから有人活動に欠かせない水や酸素などが生成できるため,月レゴリスを効率的に搬送する機構が必要とされています.搬送装置の加振源となるアクチュエータには電磁モータや圧電素子などが挙げられますが,これらは重量や変位,耐塵性を鑑みると月面での使用に適しているとはいえません.そこで,誘電アクチュエータを用いてこの問題を解決できないかと考えました.

 
誘電アクチュエータによる粒子搬送の様子
研究内容
 誘電アクチュエータはエラストマと電極のみからなる非常に簡単な構造を持つアクチュエータです.誘電アクチュエータは軽量でありながら大きな変位を生み出すことができ,電磁モータや圧電素子に継ぐ新たなアクチュエータとして注目されています.誘電アクチュエータの駆動原理を下図に示します.誘電アクチュエータは誘電性エラストマを柔軟な電極で挟み込んだ構造をしており,電圧を印加することでマクスウェル応力が生じ圧縮力が働きます.本研究では誘電アクチュエータを研究室において作製すること,及び企業より提供を受けることにより入手し,その特性および月面での粒子搬送装置への応用について調査しています.現段階では企業より提供して頂いた誘電アクチュエータを加振源とした搬送装置を開発し,実際に粒子を搬送することに成功しました.今後は自作の誘電アクチュエータを用いた搬送装置を設計し比較・検討を行います.

誘電アクチュエータ
誘電アクチュエータの駆動原理

研究概要書