研究紹介
情報精密機器はマルチメディアの基盤となるハードウエアであり、なかでもカラープリンタなどの画像形成装置は、視覚を介して情報を記録・伝達するための重要な機器です。この画像形成装置は、電磁気力や流体力を利用してトナーや液滴などの微粒子の運動や相変化を高速・高精度に制御する技術を基盤としており、電磁粒体力学、換言すれば、"電磁気力や流体力による粒体輸送の精密制御に関する研究"とでも称すべき学際的な研究を行っています。
具体的には、電磁力や流体力の作用する (非平衡変化を伴う) 粒体・液滴のダイナミクスとその微細制御に関する研究、電磁力や流体力などに起因する非線形振動に関する研究、新しいアイデアに基づく印字ヘッドの精密加工技術に関する研究などであり、さらにこれをセラミックスなどの材料科学、微細加工、マイクロマシン、生体科学、宇宙技術などへも展開しています。

Actuator

Actuator

現在,電磁モータや圧電素子などに継ぐ新たなアクチュエータとして誘電エラストマアクチュエータ(Dielectric Elastomer Actuator)が注目されています.この新規のアクチュエータは軽量・高変位・構造がシンプルな点が特徴で,人工筋肉やロボットの駆動部などへの応用が期待されています.Actuator班では誘電アクチュエータの作製および性能評価を行い,誘電アクチュエータを加振源とした粒子振動搬送装置の開発を行っています.

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Electrostatic Shield

Shield

月面上には,ルナダストと呼ばれる帯電した微小な砂塵が存在し,月面活動への悪影響が懸念されています.特に,月面探査において,探査機器の駆動部隙間へルナダストが侵入することで,機器の性能や寿命の低下を招くという問題が挙げられます.我々は,月面が高真空・微小重力環境であることに注目し,静電力を用いてルナダストの侵入を防止する防塵機構の開発を行っています.

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Wide Cleaner

Wide Cleaner

砂漠の発電では,砂が風によって舞い上がり太陽電池モジュール上に堆積することで発電量が低下することが問題視されています.現在は人の手でクリーニングしており,自動でクリーニングできる技術が必要とされています.そこでWide Cleaner班では静電力を利用して砂の堆積を防ぐ機構,および堆積した砂をクリーニングする機構の研究を行っています.

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Particle Classification

Particle Classification

月面での長期間にわたる有人活動を本格的に展開するには,ISRU(In-Situ Resource Utilization)と呼ばれる現地の資源を利用することが必須となります.その一つに,月面上に大量に存在するルナダストと呼ばれる粒子が挙げられます.ルナダストの粒径は幅広いため,利用するには粒子の粒径を大小に分別する分級という技術が必要となります.そこで我々は,月面上でも効果を発揮できる分級方法として、静電力を利用した分級機構の開発を行っています.

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Sample Return -Mars & Moon-

SampleReturnMM

地球外の生命やその痕跡を発見するという夢に向け,人類は宇宙探査活動を続けています.特に月・火星は地球と距離が近いことから,探査が積極的に行われてきました.例えば,火星探査機Curiosity(米)による,現地試料の採取・分析活動が挙げられます.しかし,その試料回収機構が複雑であり,故障に陥りやすいという問題点があります.この点を考慮し,私たちは,単純で信頼性が高い試料採取システムを開発しています.

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Sample Return -Asteroid-

Wide Cleaner

小惑星からのサンプルリターンは,「はやぶさ」の成功によって一躍有名になり,年内には「はやぶさ2」の打ち上げも予定されています.しかし,「はやぶさ」の有する粒子採取システムは駆動部を有するゆえに問題点があり信頼性を高める必要があることも明らかになりました.そこで本研究班では,静電力を利用した新たな粒子採取システムについて考案し,研究を行っています.

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過去の研究