DEVELOP
研究背景
電子写真の磁性一成分現像プロセスにおけるトナーの動力学に関する研究を行っている.電子写真は電磁気力を応用した画像形成技術である.その中でも現像プロセスは電子写真特有のユニークな方法で画像の可視化を行っている(図1).画像形成を担う10μmに満たないトナー粒子の挙動を把握し最適化を行うことにより電子写真画像形成技術の向上を目指す. これまでの研究により,感光体上では現像プロセス方向に対して平行に山脈状のトナー像が形成されることがわかった(図2).また,電子写真システムの実機現像部を高速度カメラで撮影することにより,現像プロセスの可視化に成功した(図3).上記のような実験以外にも,個別要素法などの数値シミュレーションの面からもトナー挙動の解析を行っている(図4,5).


図1 電子写真画像形成プロセスの概要



図2 感光体上のライン状トナー像形状の計測 (左)感光体周方向 (右)感光体軸方向



図3 高速度カメラによる現像部の撮影 (画像クリックで動画再生 wmv形式 2.62MB)



図4 現像プロセスのシミュレーション(2D) (画像クリックで動画再生 wmv形式 10.1MB)



図5 感光体上のライン状トナー像形状のシミュレーション(3D)

 また,2005年度より(株)サムスン横浜研究所との共同研究を開始した.こちらは二成分現像プロセスを研究対象としている(二成分現像の概要についてはChain班のページをご参考ください).二成分現像システムでは,キャリアと呼ばれる粒径40~100μm程度の粒子が磁気穂 (チェーン) を形成し,それらが画像形成の際に筆の役割を果たす (ちなみにインクの役割を果たすのがトナー).我々は磁気穂の力学的特性の解明を行うことにより,二成分現像システムの高画質化も目指している.これまでの研究では,キャリア粒径によるチェーン長さ,間隔やチェーンの剛性などの相違について,実験,理論解析,及び数値解析の面から解析を行っている.図6は個別要素法による数値解析例である.


図6 磁気穂形成シミュレーション結果(平均粒径50μm,粒子数3580個,周期境界)
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