Space
Space班では、月や小惑星をテーマに4つの研究を進めています。詳細は各グループのページをご覧ください。
  • 研究背景
    近年,次世代宇宙開発の拠点としてや民間の宇宙開発の促進のために月が注目されていますが,月面上に存在するルナダストと呼ばれる砂塵による月面間活動への影響が懸念されています.月土壌レゴリスに含まるルナダストは粒径が数 mからなり,太陽風や重放射線による粒子の帯電,高真空環境による粒子の帯電量の保持,微小重力環境(1/6G)などの要因から月面上では砂塵が舞っていると考えられています.このルナダストの機器への影響として熱制御素材の劣化,光学機器の不調,ベアリング破損,ギア破損,ボールスクリュー破損・シール劣化などが挙げられており,その中のシール劣化に着目し,月面探査機器のシール部を保護できる実用的で高性能なクリーニングシステムの開発を行っています.

    静電シールド
    静電シールド機構の概略

    研究内容
    我々はルナダストが微小粒子で高い帯電量を持ち,微小重力・高真空環境にあることに着目し,静電力を用いたルナダストの侵入を防ぐ静電シールド機構の開発を行っています.本機構は隙間を挟み込むように平行な2本の電極を設置し,位相差180 degの方形波交流電圧を印加することで隙間付近に電界カーテンを形成し,静電力によってルナダストを隙間の外側へと誘導する仕組みとなっています.主な特長として可動部がなく単純な構造,非接触型シール,低消費電力,メンテナンスフリー,隙間間隔の変化に対応可能という点が挙げられ,月面活動に適していると言えます.
    一方,宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではベアリングにおけるレゴリス対策としてブラシ型シールに関する研究が行われており,その有効性が示されています.しかし,ブラシ型シールにも除去性能に限界があり,砂塵の進入を抑制する目的としてその前段にラビリンスシールが設けられています.シールの保護を目的にこのラビリンスシールへの本機構の採用を目指しています.
    地上における実験と粒子挙動シミュレーションの双方から月面探査機器のシール部を保護できる実用的で高性能なクリーニングシステムの開発を行っています.目標としては宇宙航空研究開発機構(JAXA)のSELENE-2への採用を目指します.
    今後の展望
    地上における実験と粒子挙動シミュレーションの双方から月面探査機器のシール部を保護できる実用的で高性能なクリーニングシステムの開発を行っています.目標としては宇宙航空研究開発機構(JAXA)のSELENE-2への採用を目指します.
    研究概要書
    機械の隙間に入り込むルナダストの静電シールド機構(2011年)